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コロナで巣ごもりの今こそ、名作長編にチャレンジ!フェア 

更新日:2022年1月23日


 

 人生で長編作品に挑める機会は、慣れないうちはそうあるものではありません。ところが、この度の新型コロナのおかげで、巣ごもりを強いられ予想外の時間を得られた人も少なくありません。  現代ではネットを中心に断片情報ばかりが溢れる時代なだけに、歴史的名作も多い長編へのチャレンジは、どの作品を読んでも人生の貴重な体験となることと思います。


 是非、この機会に長編にチャレンジしてみてください。



おすすめベスト10



伊藤博 『萬葉集』 全10巻 集英社文庫


日本の古典といえば、まず『古事記』や『日本書紀』が代表されますが、中国を意識して国家が作成したそれらとはまったく異なる世界が『万葉集』にはあります。 記紀が太陽、アマテラスに固執しているのに対し、万葉集に太陽はほとんど歌われず、出てくるのは月ばかりです。編纂の中心となった橘諸兄、大友家持らが藤原独裁政権に対する秘めたる抵抗の姿や東国の庶民の世界を含めた日本人の原像が『万葉集』にはあります。 日本の文化や日本人のこころを知るうえでは、絶対に欠かせないものです。

伊藤博の注釈は初心者にもわかりやすいので、こちらの集英社文庫版はおすすめです。




林望 『謹訳 源氏物語』 全10巻 祥伝社文庫


世界に誇る日本の古典文学の代表作。 源氏物語の現代訳といえば、与謝野晶子にはじまり谷崎潤一郎、瀬戸内寂聴、円地文子など早々たる作家が挑戦していますが、時をへるほど練り込まれた現代人にもわかりやすい表現

になってきています。

新しいところでは、この林望のほかに  角田光代訳『源氏物語』上・中・下  池澤夏樹ほか個人編集「日本文学全集」(河出書房新社)が好評です。


岩波文庫版は、現在刊行中




平家琵琶語りなど、そのストーリーは広く庶民に知られた物語ですが、世阿弥作の謡曲の数々によっても更に物語は洗練され、広く日本人の心に沁みるようになりました。


平家物語は現在木村耕一による読み解き『平家物語』1万年堂出版が好評です。






吉川英治『私本太平記』 全8巻 講談社 吉川英治文庫


中世の動乱を極めた時代を見つめる吉川英治の視線が冴えわたる作品。 本来は、平家物語を優先すべきところですが、長編小説のくくりでセレクトしている都合、こちらにさせていただきました。

南北朝に分裂する日本史上きっての動乱の時代。足利尊氏、後醍醐天皇らの間に、楠木正行、北畠顕家の悲劇など、終わることのない戦乱が続く。




吉川英治『宮本武蔵』 全8巻 新潮文庫


映画でも有名になった作品ですが、武士道がまだ確立する前の時代、剣の修行を極めていく武蔵の姿は、武道に限らない人の道を学ぶ一生そのもの。 沢庵和尚との出会いをはじめ、一つひとつの闘いや邂逅のストーリーが武蔵の成長のプロセスとして見事に描かれています。


 

池波正太郎 『真田太平記』

全12巻 新潮文庫

お店のホームページでも群馬の基本図書として紹介させていただいている『真田太平記』  物語の舞台も、中之条、沼田、名胡桃など、地元がらみのドラマ満載ということもあり、圧倒的人気の長編です。父・真田昌幸、兄・源三郎信幸、弟・源二郎幸村を軸にすえながらも、真田独自の忍び(草の者)の力も駆使し、大軍相手に知略をめぐらし活躍する歴史絵巻は痛快そのもの。ストーリーに一気に吸い込まれる構成は、池波作品のなかでもダントツ。



司馬遼太郎『竜馬がゆく』 全8巻 文春文庫


司馬遼太郎がこの作品を書かなかったら、坂本竜馬はこれほど知られることはなかったでしょう。今でこそ明治維新の偶像がようやく解かれてきましたが、にもかかわらずこの作品の価値は衰えることはありません。


司馬遼太郎『坂の上の雲』 全8巻 文春文庫


 日本が近代化を急いだ明治という国家の姿と明治人の人間群像、日本の軍隊が昭和の敗戦に至る原点を知るうえでも欠かせない名著。

日本がはじめて大国を相手に戦争を行い、常にギリギリの攻防のなかで、辛くも勝利を勝ち取っていけたのはなぜか。

ビジネスマンが選ぶ名作に必ず選ばれる作品。



北方謙三『三国志』 全13巻+別巻1 角川春樹事務所


長編といえば何よりもこの三国志ですが、北方謙三版がでたおかげで長さを意識せずに多くの人が一気に読めるようになりました。 横山光輝の漫画版も捨てがたい名作ですが、現在品切れです。




北方謙三『水滸伝』 全19巻 角川春樹事務所

西遊記』『三国志演義』『金瓶梅』とともに「四大奇書」のひとつ。

『水滸伝』とは「水のほとりの物語」という意味で、「水のほとり」とは、本拠地である梁山泊を指す。反権力的な傾向であるため、しばしば禁書とされたが広く愛読され、現在も中国で農民革命の文学として高く評価されている。



塩野七生 『ローマ人の物語』

全43巻 新潮文庫


西洋史においては、何よりもギボンの『ローマ帝国衰亡史』が不朽の名著として知られていますが、まさか日本人によってそれが書き換えられるとは誰が予想したでしょうか。 まさにローマ人もビックリしたことでしょう。





本来は、中里介山の『大菩薩峠』こそ、このベスト10に入れたいところでしたが、残念ながら文庫版(ちくま文庫、時代小説文庫)がいづれも品切れ中のため扱えませんでした。





****** 番 外 編 余 談*******


この企画の「ベスト10」は海外ものは除いてセレクトしましたが、海外の長編小説にも捨てがたい名作はたくさんあります。


ドストエフスキー 亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』

全4巻 エピローグ別巻1 光文社古典文庫  亀山郁夫訳の登場で数年前に、ドストエフスキーがちょっとしたブームにもまりましたが、作品のインパクトでいえばやはり『罪と罰』は筆頭にあげられます。  そしてドストエフスキーに匹敵する緊迫感といえば、三島由紀夫の『豊穣の海』全4巻が思い起こされます。  余談の余談ですが、ノーベル賞を逃した三島由紀夫のことを思うと、過去、三島の他にノーベル賞候補の噂のあった作家、吉村昭、石牟礼道子の三人こそ、生涯向き合い続ける価値ある作家といえないでしょうか。


三島由紀夫『豊饒の海』(全4巻)新潮文庫

また余談ながら、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読んだ後に、この『豊饒の海』を読むと、日露戦争後の大正から昭和初期、太平洋戦争に至る期間、日本中枢に食い込もうとする右派の空気がよくわまります。


マルセル・プルースト 角田光代訳 『失われた時を求めて』 全1冊 縮約版 新潮社

こちらは、縮刷印刷版かと思いましたが、実際には「縮約版」というものでした。 長編作品へのひとつの入り方として、読まれてみてはいかがでしょうか。


他にも

『チボー家の人々』(全13巻)白水Uブックス ヴィクトル・ユーゴー『レ・ミゼラブル』新潮文庫 品切れ ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』『魅せられたる魂』

マーガレット・ミッチェル『風とともに去りぬ』新潮文庫・岩波文庫


店頭でのフェアは終了いたしました。

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