スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』岩波現代文庫
小梅けいこ スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ原作 『戦争は女の顔をしていない』1~3巻 KADOKAWA
当初アゾフ大隊からは、在ウクライナロシア人が標的にされ、それがロシア軍による仕業とされたり、かたやロシア側のロシア人救出侵攻の理由ともされました。
普段は何の違和感もなく付き合っていた隣人同士が、自分の意思とは関わりなく敵と味方に分かれるだけでなく、自分自身の様々な立場も選択の余地のない状況に追い込まれます。
逢坂冬馬『同志少女を敵を撃て』早川書房
18歳の少女セラフィマはソ連赤軍の狙撃兵にもかかわらず、ソ連に対して複雑な感情を抱いたまま戦っている。 オリガは言う。「ウクライナがソヴィエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる?なんども飢饉に襲われたけど、食糧を奪われ続け、何百万人も死んだ。たった20年前の話よ」。 「本屋大賞」受賞作。話題作がひときわ多かったなかで、見事に栄冠を勝ち取った。「アガサクリスティー賞」受賞など、キャリアの浅い作家とは思えない筆力と構成力が本読みのベテランたちの高い評価につながったのだろう。戦争を題材にする彼の真の思いが、日々のニュースに眉をひそめる我々に深くつきささる。本屋大賞受賞のインタビューに答える逢坂氏からは静かな喜びとともに作家の強い使命を感じた。今のこの時、読むべき一冊である。
この個人レベルで起きていることが、いつの間にか国家レベルても起きていて、戦争の長期化とともにウクライナのシリア化が懸念されています。
これから大国の代理戦争の性格がさらに増して、戦争の行方がいつの間にかウクライナ国民の意思では左右できなくなりはじめています。
戦争は、いつの世でも、いかなる国でも「正義」の名とともに始められ、途中から戦争目的も曖昧化して、誰にもコントロール出来ない泥沼に陥り、犠牲者をひたすら増やしていくことが常であるにも関わらず今、ウクライナ、ロシア間の「停戦」を求める声はとても小さい。侵略した側と侵略された側が対等に扱われるような停戦には、同意しがたいというのが理由です。
藤原帰一『「正しい戦争」は本当にあるのか』講談社+α新書
第1章 「正しい戦争」は本当にあるのか
第2章 日本は核を持てば本当に安全になるのか
第3章 デモクラシーは押しつけができるのか
第4章 冷戦はどうやって終わったのか
第5章 日本の平和主義は時代遅れなのか
戦争は一つの要因で動くものではありませんが、歴史を見れば見るほど大国の要因は限りなく大きく感じます。
本来は、大国の横暴を抑えるためにこそ国際社会は結束して動くことを期待したいものですが、経済的利害、金の力をこえることが一段と難しい世界になってしまっているようにも見えてなりません。
平和をつくるのには、決してこれがあれば大丈夫などというものはありません。もちろん九条も含めて。 それには、戦場で武器を持って闘う以上の覚悟も必要。 そうしたことを歴史はたくさん私達に教えてくれています。
ロマナ・ロマニーシン/アンドリー・レシヴ 作 金原瑞人訳
『戦争が町にやってくる』
ブロンズ新社
この度のロシアによるウクライナ侵攻が起きるよりもずっと前に出された絵本で、2015年にボローニャラガッツィ賞を受賞した作品です。
小室直樹『国民のための戦争と平和』ビジネス社
小室直樹『戦争と国際法を知らない日本人へ』
確かに憲法九条も大切ですが、現実の戦争は、ものすごくたくさんの利害の集積の上に起こるもので、戦争を止めるには「これがあれば大丈夫」などというものは絶対にありません。
小室直樹は、個人間で起こるケンカとは違い、「戦争は高度な文明の所産である」「戦争は制度である」として、平和の構築には、戦争で命を懸けて闘うこと以上の高度な努力の積み重ねを要するのもであることを強調しています。
アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ10の法則』草思社文庫
「われわれは戦争を望んでいるわけではない」「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」。いま世界のいたるところで飛び交っている主張である。当事国の双方がまったく同じ論理で相手を非難して自己を正当化する。両次世界大戦から冷戦、東欧でも中東でも、現在にいたるあらゆる紛争において流布され世論を操る、巧妙かつ効果的ともいえる手法である。ポンソンビー卿の古典的名著『戦時の嘘』の指摘をふまえて、こうした戦争プロパガンダの基本的なメカニズムを検証するのが本書である。当事国がメディアと結託して広める嘘に隠された真意を読み解く、メディアリテラシーを研ぎ澄ませる一冊。(「BOOK」データベースより)
内藤正典『プロパガンダ戦争』集英社新書
千々和泰明『戦争はいかに終結したか』中公新書
第一次世界大戦からアフガニスタン・イラク戦争まで、たとえかりそめのものであっても戦争終結に至るプロセスがどのような経緯をたどるのか、具体的に考察。
さまざまな利害や力関係が激突するだけに、客観的分析だけではなく、個別の個人的要因も含めて強い意志をもって臨まなければなりません。
それだけに、
内田樹編『撤退論』晶文社
なにかにつけて弱腰と非難される運命にあるなかで「撤退」を決断し、遂行する論理は、戦争に限らず、一般論では片づけられない個々の状況下でシビアな考察が求められます。
グレンコ・アンドリー『NATOの教訓』PHP新書
(要旨) NATO(北大西洋条約機構)には、世界で他に例のない実績がある。加盟国の本土が70年間、武力攻撃を受けたことがないという点だ。世界史において、複数の国が加盟する同盟の全構成国が70年も平和でいられた、というのは奇跡に近い。本書は冷戦から現代まで「世界最強の軍事同盟」をめぐる実例を紹介し、日本が学ぶべき国防の努力について考察。現在、アメリカが率いる自由・民主主義陣営と、中国・ロシアが率いる独裁主義陣営の「新冷戦」の構造が鮮明になりつつある。東アジア・太平洋方面における日本の軍事同盟が、世界を変える可能性を説き明かす。
現実の止められない戦争を終結させることは容易ではありません。
それだけに、根本解決には至れなくても、国民や国土を焦土と化し、双方の国民の心に深い傷を与え続けることより、国際社会が「停戦」にまず持ち込む「知恵」が大切です。
苫米地英人『日本人だけが知らない戦争論』
第1章 これから日本は戦争に巻き込まれるのか?
第2章 クロムウェルはなぜ戦争を起こしたか
第3章 なぜ、金融資本家たちは戦争を起こしたいのか?
第4章 国際金融資本はいかにして王様から権力を奪っていったか
第5章 「世界大戦」という壮大なフィクションを暴く
第6章 来たるべき第3次世界大戦と「国家洗脳」の手口
第7章 21世紀の戦争は「5次元化空間」で繰り広げられる
水木しげる
『漫画で知る戦争と日本 壮絶!特攻篇』マガジンハウス
『漫画で知る戦争と日本 敗走記篇』マガジンハウス
篠田英朗『紛争解決ってなんだろう』ちくまプリマー新書
要旨
歴史上、大小含めて国家などの集団同士の「紛争」は、絶えたことがない。ビジネスや日常生活上のものを含めれば、人間社会のあらゆる場所や状況で、常に紛争は起きているのではないだろうか。どんな紛争も、いずれ解決をめざすべきものだが、その方法論は「紛争解決論」という学問分野にもなっている。本書は、主に国家間の紛争を取り上げながら、「紛争とは何か」といった根本的な問いから、「どのように紛争を解決していくか」の原則まで、「紛争解決論」の基本を解説している。紛争に対応するに当たっては、まず第三者、もしくは当事者が、時系列や関係性などによる「紛争分析」から始める。そうして紛争の本質を見きわめた上で、回避、交渉、調停、強制などのパターンの中から、妥当な方法を選択し、場合によっては組み合わせていく。著者は東京外国語大学総合国際学研究院教授で、国際関係論を専門とする。ロンドン大学(LSE)で国際関係学Ph.D.取得。広島大学平和科学研究センター准教授などを経て、現職。
宮田律『武器ではなく命の水をおくりたい 中村哲医師の生き方』
第1章 中村哲医師が世界に示した平和主義(戦争でテロはなくならない
イラク戦争支持への反省を怠った日本 ほか)
第2章 アフガニスタンでの三〇年間の苦闘(食べることこそが平和をつくる
食糧緊急支援に奔走 ほか)
第3章 中村医師が見たアフガニスタンの社会(アフガニスタンは世界一の親日国
広島・長崎への原爆投下に対する同情 ほか)
第4章 アフガニスタンの人びとは中村哲医師を忘れない(善き行いとは―ルーミーの詩から
多くの人に愛された「カカムラ」 ほか)
第5章 コロナ禍の世界は戦争の空しさを説く(「ブラック・ライヴズ・マター」
軍事費削減を求めるアメリカ国民 ほか)
中村哲『天、共に在り』 NHK出版
(要旨) 2019年12月、アフガニスタンで医療・農業支援に携わっていた中村哲医師が銃撃され亡くなった事件は、現地や日本、そして国際協力に関わるすべての人に衝撃を与えた。中村医師は、現地で難民の医療にあたるだけでなく、用水路など灌漑設備の建設に取り組み、アフガン復興に多大なる功績を残した。本書は、1946年に福岡県に生まれ、2013年までの半生を綴った中村哲医師の自伝。ふとしたきっかけから、パキスタン、アフガニスタンにおける医療に携わることになった中村医師。現地の難民や、旱魃による被害で農業ができなくなった人々の悲惨な現状を目の当たりにし、彼らを救うため、現地の人々と協力しながら1,600本もの井戸を掘り、25キロにもおよぶ用水路を建設するという偉業を成し遂げる。著者の故中村哲氏は、PMS(平和医療団・日本)総院長、ペシャワール会現地代表を務めた。1991年よりアフガニスタン東部山岳地帯に診療所を開設し、98年に基地病院PMSを設立。マグサイサイ賞「平和と国際理解部門」、第61回菊池寛賞、第24回福岡アジア文化賞大賞など受賞多数。なお、本書は「第1回 城山三郎賞」および「第4回 梅棹忠夫 山と探検文学賞」の受賞作である。
イマヌエル・カント『永遠の平和のために』講談社学術文庫
A・アインシュタイン、S・フロイト『ひとはなぜ戦争をするのか』講談社学術文庫
『戦地の図書館』 海を越えた一億四千万冊 創元ライブラリ
第二次世界大戦終結まで、ナチスドイツは発禁・焚書によって、一億冊を超える書物をこの世から消し去った。 対するアメリカは、寄付活動や兵士用のペーパーバックを発行することで、約一億四千万冊を戦場に送り続けた。 その史上最大の図書作戦の全貌! #
『戦場の希望の図書館』 瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々 創元ライブラリ
2015年、シリアの首都近郊の町ダラヤでは、市民が政府軍に抵抗して籠城していた。政府軍に空爆されるなか、人々は瓦礫から本を取り出し、地下に「秘密の図書館」を作った。ジャーナリストの著者は、図書館から彼らが得た希望を記録していく。 図書館に安らぎを、本に希望をもたらした人々を描く感動のノンフィクション!
この機会にぜひ、こちらのコーナーへお立ち寄りください。
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