群馬県小・中学校教育研究会社会科部編『群馬県を築いた人びと』(旺文社)という本があります。
1986年に出版された本で、学校教材としてつくられた本なので、一般書店の店頭でみることはほとんどないかもしれません。
群馬県を築いた人びととして、なかなか他の市販の本では紹介されることのない地元の重要人物や事績が、旧石器時代に人びとにまで遡り49項目にわたって掲載てされている大事な本です。これまでも、コツコツ仕入れては売り続けていましたが、他に代わりのない貴重な本なので、今までよりも積極的に仕入れるようにしました。
北毛地方
杉木茂左衛門 角田無幻
塩原太助 金剛院江舟・生方藤蔵・後藤文右衛門
小野沢平左衛門 高野長英
堀口藍園 中居屋重兵衛
久米民之助 細谷浅松
中毛地方
三原田の人びと 上毛野君
上野国府と国分寺 秋元長朝
金井烏洲 船津伝次平
下城弥一郎 石川泰三
石原和三郎
西毛地方
日高の人びと 羊太夫
樋口定次 関孝和
小栗忠順 高山長五郎
ブリューナー 新島襄
萩原鐐太郎 斎藤寿雄
内村鑑三 新井高四郎
青木満之助 清水善造
佐藤袈裟吉
東毛地方
岩宿の人びと 新田義貞
大谷休泊 呑竜上人
岡上景能 高山彦九郎
大垣守舎 吉田市右衛門
田山花袋 岩沢正作
永島与八・松本英一 野間清治
中島知久平 森喜作
角田無幻は、光格天皇や任孝天皇に書の手本を奉呈したほどの書家で、県内にも赤城神社の鳥居など、各所にその書が残っています。また修験僧としても阿闍梨という最高の位を授けられています。
無幻はそれほど高い地位に上りつめながらも、村へ帰るときは籠を降りて歩いて帰ったという人物でもあります。
現在、渋川市のあじさい公園として親しまれている小野池は、昔から水が乏しかった渋川に小野沢平左衛門が天保年間に発案して掘ったものです。これら事業を遂行できたのも、質素でまじめな生活の手本を自ら示す人柄があったからこそでもありました。
江戸時代も後期に入ると、従来の儒学・朱子学の教条的学問に対する実学的気風が地方でも盛んになり始めました。そんな幕末から明治にかけて堀口藍園は、地元の郷学の伝統を受け継ぎ、山崎石燕、吉田芝渓、吉田翠屏、小野里巴水、木暮足翁、高橋蘭斎、竹渓上人などの受け継ぎその普及に貢献しました。
今では、教職関係者や公務員の世界以外ではあまり知られなくなってきましたが、郷土の実学の系譜をとりまとめた功績は大きい。
これらが年代順に掲載されています。
各項目ごとに「カメラを持って出かけよう」とわかりやすい地図は見開きでついているので、とても参考になります。
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