二二男
秋です。 新型コロナで、人のいるところへの外出は避けて、 今こそ、大自然のなかへ飛び込んで行きましょう!
群馬直美『葉っぱ描命』燦葉出版社
群馬直美『言の葉 葉っぱ暦』けやき出版
木の葉の丁寧な観察にもとづいた素敵なスケッチとエッセイが、とても魅力あふれた本です。
本来は、この群馬直美さんの本を中心にこの企画を組み立てたかったのですが、残念ながら現在新刊で入手できる本は限られてしまいました。
幸田文 『木』 新潮文庫
「樹木に逢い、樹木から感動をもらいたいと願って」北は北海道、南は屋久島まで、歴訪した木々との交流の記。木の運命、木の生命に限りない思いを馳せる著者の眼は、木をやさしく見つめ、その本質のなかに人間の業、生死の究極のかたちまでを見る。生命の根源に迫るエッセイ。 (e-honn紹介文より)
デヴィッド・ジョージ・ハスケル『木々は歌う』築地書館
ネイチャーライティングの最高峰。ジョン・バロウズ賞受賞。
目次
1(セイボ―地上五〇メートルの生態系 バルサムモミ―森は思考する サバルヤシ―砂浜で生きる トネリコ―倒木をめぐる生物たちの世界 ミツマタ―紙と神の記憶) 2(ハシバミ―中石器時代の人々を養う セコイアとポンデロサマツ―木々をわたる風が太古と現代をつなぐ幕間 カエデ―二本のカエデが紡ぐ歌) 3(ヒロハハコヤナギ―公園の木と川と風をめぐる生命のネットワーク マメナシ―街路樹はコミュニティへの入り口 オリーブ―切り離せない木と人間の運命 ゴヨウマツ―樹木の命と人間の命は関係性のなかに築かれる)
若山牧水『樹木とその葉』田畑書店
静岡県沼津町。壮麗な富士を仰ぎ見る地に居を定め、創作に邁進する牧水。その最も充実した平穏な日々に、脂の乗りきった筆で自由自在にしたためたエッセイが一冊に編まれていた―大正十四年に刊行されたその名著を、読みやすい形で復刊。旅と自然への「あくがれ」を描いた名篇や、関東大震災をつぶさに活写した「地震日記」。 群馬のみなかみ町、吾妻峡谷、浅間山山麓などと通った記録も、地元の人間にとっても大きな財産です。 牧水の人間的魅力が高純度の日本語に結実した幻の書!
南木佳士『根に帰る落葉は』田畑書店
書くために生きたのではなく、生きるゆらぎを書いてきた。そして40年…。ことばが、からだが、しみじみ深呼吸する。最新エッセイ集!作家生活40年記念出版。 ハードカバー装丁による文庫サイズの本。 まさに懐に入れて秋の木の下に持ってゆき寝転んで読むに相応しい、爽やかな文章の味わいを楽しめます。
星野道夫『旅する木』文春文庫
広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年に初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々。その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせの生活を、静かでかつ味わい深い言葉で綴る33篇を収録。
リト@葉っぱ切り絵『いつでも君のそばにいる 小さなちいいさな優しい世界』講談社
「一枚の小さな葉っぱの上に広がる温かい物語に心癒される」と世界各国で絶賛!見て、読んで、幸せな気持ちになれる、絵本みたいな切り絵作品集。
ジャン・ジオノ/原作 フレデリック・バック/絵 寺岡襄/訳 『木を植えた男』あすなろ書房
フランスの山岳地帯にただ一人とどまり、荒れはてた地を緑の森によみがえらせたエルゼアール・ブフィエの半生。同名の短編映画は’87アカデミー賞短編映画賞受賞。
瀬川勝哉『戦争が巨木を伐った 太平洋戦争と供木運動・木造船』平凡社
ガダルカナルの敗戦が決定的になった1943(昭和18)年2月、日本政府は国内で「軍需造船供木運動」を開始する。急速に進む鉄の不足を補い、木が戦争資材として浮上する。政府は鋼船に代え木造船を緊急増産するため、山林だけでなく平地の巨木・大木にも目をつけた。一斉に屋敷林・社寺林・並木・公園・海岸林の木々の伐採供出運動が展開される。一方国内や東南アジア各地では木造船工場が新設され、規格化・簡略化された「戦時標準型木造船」の大量生産が始まる。何十年、何百年、人々の暮らしと共にあった身近な木はこうして船になったが、果たしてどれだけ役に立ったか?―知られざる戦時の木の総動員体制と木造船建造計画。日本における樹木と人の関係史上まれに見る危機的局面を、中世史家がはじめて明るみに出す、前人未踏の歴史分野の開拓。
本田 不二雄『神木探偵 神宿る木の秘密』駒草出版株式会社ダンク出版事業部
この国にはたくさんの“ヌシ”がいる。見る者の魂を震わす全国の御神木を巡り、その秘密を解き明かすはじめての本!すごい御神木69柱!十二本ヤス(青森県五所川原市)、蒲生のクス(鹿児島県姶良市)、軍刀利神社の大カツラ(山梨県上野原市)、武雄の大楠(佐賀県武雄市)、岩倉の乳房杉(島根県隠岐の島町)…ほか。
目次
第1章 いかにして神木となりしか(寄らばクスノキの陰 参詣道のランドマーク 歴史の一場面とともにある神楠 ほか) 第2章 ゆきゆきて神木旅(難波の世界樹 近江の廃村と聖樹 隠岐・島後の怪樹 ほか) 第3章 こんな木を見てきた(山の魔物と12本の御印 みちのく堂ヶ平の御神体 巨木の里の救済者 ほか)
琴寄融『ぐんまの巨樹名花 散策ガイドブック』上毛新聞社
宮誠而『日本一の巨木図鑑』文一総合出版
巨樹・大木・神木は、長い年月の風雪に耐え抜いてきてそこにあるだけでも特別な存在感がありますが、その土地それぞれの固有の人々との関わりあいも、その姿や歴史にあらわれています。まさに1本の木との出会いはひとりの人生をも変えるほどの力があります。
林將之『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』ナツメ社
野外で使える樹木図鑑の決定版!身の回りで見られる代表的な樹木372種(画像掲載種325種)を掲載し、葉で樹木の種類を検索できます。木の種類がわかったら、特徴や名前の由来、つながっている生き物などを知り、「見る、聴く、かぐ、触る、味わう」五感で観察を楽しみましょう。樹木図鑑なのに鳥や動物、魚まで出てきます。野外観察が楽しくなる観察ノート付き。
舘野正樹『日本の樹木』ちくま新書
書では、あらためて木の美しさと不思議さを再発見してもらうために、基礎生物学から生態学までをふまえ、ヒノキ、ブナ、ケヤキなど代表的な26種について進化の秘密を紹介します。自然環境のなかで成長した本来の樹形を写したカラー写真をとおして、緑樹の影のしたたかな生き残り戦略について楽しく学びます。
林将之『秋の樹木図鑑 紅葉・実・どんぐりで見分ける約400種』廣済堂出版
果実や紅葉など秋の見所がある樹木約400種類を落葉広葉樹、常緑広葉樹、針葉樹の3編に分け葉の形態で並べて掲載。巻末に学名さくいん、和名さくいんが付く。
林 将之 『樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類』山と渓谷社
岩谷美苗『散歩が楽しくなる 樹の手帳』東京書籍
いつも通るあの道の、あの樹のことがよくわかる。身近な樹木102種の雑学!地味な樹木にも、奇想天外な生き方が! 持ち歩きに便利な表紙ビニール装。
目次
第1章 街路でよく見かける木 第2章 学校によく植えられている木 第3章 公園でよく見かける木 第4章 寺社でよく見かける木 第5章 住宅街でよく見かける木 第6章 里山の木
平凡社編『新版 樹木 もの知り事典』平凡社
同時に店内では「今こそ静かなひとり旅」フェアも行っていますが、茨木のり子の以下の詩を見ると、本来、二つのフェアは並べたい企画です。
木は旅が好き
木は
いつも
憶っている
旅立つ日のことを
ひとつところに根をおろし
結実を急ぎながら
そよいでいる
どこか遠くへ
どこか遠くへ
ようやく鳥が実を啄む
野の獣が実を齧る
リュックも旅行鞄もパスポートも要らないのだ
小鳥のお腹なんか借りて
木はある日 ふいに旅立つ ―― 空へ
ちゃっかり船に乗ったものもいる
ポトンと落ちた種子が
〈いいところだな 湖がみえる〉
しばらくここに滞在しよう
小さな苗木となって根をおろす
元の木がそうであったように
分身の木もまた夢みはじめる
旅立つ日のことを
幹に手をあてれば
痛いほどにわかる
木がいかに旅好きか
放浪へのあこがれ
漂泊へのおもいに
いかに身を捩っているのかが
茨木のり子
2022年2月にて終了致しました。
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